中小事業者がお金を借りようとした時、よく耳にする言葉が「制度融資」です。
・そもそも、制度融資ってなに?
・日本政策金融公庫の融資とは違うの?
今回は、そんな疑問にお答えしつつ、制度融資の賢い利用の仕方について解説したいと思います。
目次
制度融資とは?
中小事業者が融資を受ける場合、通常は過去の決算書などから業績を読み取り、おカネを貸せるかを判断します。
しかし、創業間もない会社などは、まだ実績がないため、業績を判断することができません。これでは、おカネを貸す側としても、融資を実行するのに躊躇してしまいますよね?
そこで、保証協会という機関が、その借入について保証人になってくれるのです。
このような融資を、「保証協会付き融資」といいます。この「保証協会付き融資」ですが、さらに事業者が借りやすくするために、地方自治体が利息の一部を補填してくれる制度があり、この制度を総称して「制度融資」と呼んでいます。
なお、保証協会の保証を付けずに自らの信用力だけで融資を受けることを「プロパー融資」といいます。
・民間の金融機関、地方自治体、保証協会の三者が協力して融資
・保証協会付き融資で、地方自治体が利息の一部を補填してくれる制度
制度融資のメリット
据置期間が長い
据置期間とは、元本の返済を止めておいてもらえる期間のことで、この期間は利息の支払いだけをすればOKなんです。地方自治体にもよりますが、1年程度の据置期間が設定できることがあるため、特に創業したてで資金繰りが厳しい時には大変便利です。
ただし、借りる側の信用力によっても、設定できる据置期間が異なるため、注意が必要です。
金利が低い
制度融資の場合、日本政策金融公庫(以下、公庫)と比べて低い金利で借りられる傾向にあります。地方自治体にもよりますが、1~3%程度の金利で借りることができ、さらに後述する利子補給という優遇を受けられることもあります。
利子補給が受けられる
借りる人の要件によっては、利息の一部を地方自治体が補填してくれることがあります。これを利子補給といい、返済の際に支払った利息を、後から地方自治体が補給(返金)してくれる制度です。
利子補給が受けられる要件は多岐に渡ります。
例えば創業前後の方が、創業に必要な運転資金や設備資金を借りる場合や、小規模事業者・フリーランスの方が融資期間1年の短期継続資金を借りる場合など、様々です。
融資制度ごとに、かなり細かい要件がたくさんあるので、一度地方自治体のホームページなどで確認してみるといいでしょう。
制度融資のデメリット
連帯保証が必要
創業融資を受ける場合、公庫の新創業融資ならば、原則代表者の連帯保証は不要です。一方で、制度融資を利用する場合は、基本的に代表者の連帯保証が必要です。
もちろん事業が順調に成長することが一番よいです。しかし万が一ということもあるので、その時に代表者の連帯保証が不要ということは、リスクを気にすることなく起業できるというメリットがあるかもしれません。
保証料が必要
制度融資の場合、保証協会が借入の保証をしてくるということをご説明しました。もちろん無料で保証してくれるわけではありませんので、「信用保証料」という料金を支払わなくてはいけません。
保証料は以下のような数式で計算されます。
保証料は融資実行のときに一括で支払うことが一般的です。しかし、東京信用保証協会の場合、「信用保証料分割支払承認依頼書」を提出し、協会が承認をしてくれれば、分割払いが可能となります。