融資申請に必要な書類は?

日本政策金融公庫の新創業融資と言えば、審査機関が短く、スムースにいけば、申請からおよそ1か月程で着金となります。

その利便性が非常に魅力的ですが、提出する書類が多く、煩雑であるのが難点です。

起業太郎
よ~し!プレゼンは得意なんだ!
事業の概要はパワポでさくっと作って、面談で勝負だ!
創業先生
ちょっと待ってください!
公庫の融資では、申請する書類が決まってます。
それに、融資が可決か否決かは、書類の内容で8割が決まるんです!
起業太郎
そんなに書類って、大事なんですね!

日本政策金融公庫の融資は、申込書類を提出した後、面談があり、審査となります。

しかし、公庫は書類の内容を非常に重視しており、申込書類の内容で8割がた融資が出せるか否かを決めています。そこで、今回は融資の申込書類にはどのようなものがあるか、解説していきたいと思います。

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必ず必要な書類

融資の申請には、必ず提出しなくてはいけない書類というものが、日本政策金融公庫のホームページにも書いてあります。

一方で、提出書類として記載はありませんが、融資審査を有利に進めるために、こちらから積極的に提出した方が良い書類もあるので、それぞれ見ていきましょう。

創業当初の場合

まず、最低限必要なものは下記のようなものです。

  1. 借入申込書
  2. 創業計画書
  3. 履歴事項全部証明書(法人の場合)
  4. 身分証明書

借入申込書

借入申込書は、その名のとおり「借入を申し込む」書類ですから、そもそもこの書類がなければ始まりません。記入内容もいたってシンプル。

  • 住所
  • 会社名(または屋号)
  • 氏名
  • 融資希望額
  • 返済期間
  • 据え置き期間
  • 事務所や支店の住所
  • 家族情報
  • 連絡先

など、基本情報がほとんどです。

返済期間に関しては、利用する融資制度や「運転資金」か「設備資金」で異なりますので、下記を参考にして頂きたいと思います。なお、各融資制度に定めれれている返済期間に関しては、あくまで「最長の返済期間」ですので、この範囲の中で、ご自身にあった返済期間を記入してください。

また、あくまでこれは「希望」ですので、実際の返済期間は、事業計画の内容や融資額、資金使途などで最終的に決まります。

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また「運転資金」とするか「設備資金」とするかは、その融資資金の使い道で異なりますので、下記の記事も参考にして頂ければと思います。

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創業計画書

日本政策金融公庫の特徴としては、貸付業務だけを行っているという点で、ほかの金融機関のように預金業務を行っておりません。

預金業務を行っていれば、その人の収入や支出の傾向、お金の管理にだらしなくないか、などの傾向がわかります。

しかし、日本政策金融公庫は預金業務を行っていないため、融資の申込みがあった時点で初めて、その人のことを詳しく理解しなくてはいけないのです。

ゆえに、創業計画書は非常に重要な書類です。

具体的には、

  1. 代表者の経歴、経験をアピール
  2. 事業の内容をわかりやすく、簡潔に!
  3. 同業他社との差別化
  4. 売上見込みとその根拠
  5. 事業に対する熱意

上記の内容を簡潔に書いていくことがポイントです。

融資審査の担当者はとにかく忙しいです。したがって、「わかりやすく、簡潔に」書くことが、書類全体に対するポイントになってきます。

また同業他社との差別化というと、奇抜なアイデアを書く方がいますが、これはあまり印象が良くありません。

今までにない斬新なビジネスモデルということは、融資担当者は理解がしづらいということです。また、新しいビジネスモデルということは前例がないということなので、売上見込みが読めないということにもなります。

したがって、「同業他社との差別化」というのは、「ほんのちょっとした工夫、差別化」という程度がいいのです。

事業に対する熱意も同じです。

あまり情熱を熱く長々と語られても、融資担当者としては迷惑なだけです。

それよりも、「このビジネスに対してどれだけの時間をかけて準備をしてきたか?」という事実の方が、熱意として十分に伝わるものなのです。

つまり、付け焼刃の行き当たりばったりの勝負は通じないということですね。

創業後の場合

次に、創業後の場合の必ず必要な書類です。

  1. 借入申込書
  2. 企業概要書
  3. 履歴事項全部証明書(法人の場合)
  4. 身分証明書
  5. 確定申告書または決算書
  6. 試算表

企業概要書

基本的には創業当初の書類とあまりかわりませんが、「創業計画書」に代えて「企業概要書」となっている点に注目です。

書類作成のポイントは、「創業計画書」とあまりかわりませんが、「売上を増加させる計画」を盛り込んだ方が良いでしょう。

この際も、「あまり大げさな計画」は嫌われます。非現実的と捉えられてしまうからです。

数値としては、「少しだけ売上が増加」するような計画で、かつそれに向けた「ちょっとした企業努力」を書いていくことがポイントです。

試算表

決算から6か月または創業から6か月が経過している場合には、期首から直近までの財務数値をまとめた試算表が必要となります。

融資審査をするにあたり、事業の今現在の実態を知るには、「確定申告書または決算書」とこの「試算表」が非常に重視されます。詳細は後述します。

積極的に提出したい書類

確定申告書または決算書

融資審査というのは、「この人はお金をちゃんと返せるだろうか?」という点が最大の判断基準になります。

しかし、未来を予測することは困難なので、融資担当者が最も重視するのは「過去の実績」なのです。

端的な話、「その人の収入=その人の稼ぐ力」です。

したがって、会社員であった人は直近3年分くらいの源泉徴収票、個人事業主だった人は確定申告書を添付すると良いでしょう。

なお、創業後の融資の場合には、提出が必須となります。

その場合には、

  1. 個人事業主⇒確定申告書
  2. 法人⇒決算書

が必要となります。

受領印に要注意!

確定申告書や決算書を提出する際には、いくつかの注意点が必要です。

まず、法人が決算書を提出する際ですが、その書類の多さに驚くと思います。

「この書類のどこを出すの?」

と思われるかもしれませんが、基本的に全部です。

具体的には、

  • 法人税申告書(別表すべて)
  • 決算報告書
  • 個別注記表
  • 固定資産台帳
  • 勘定科目内訳明細書
  • 法人事業概況説明書

これらの書類すべてが必要となります。

個人事業主の場合は確定申告書だけですので、かなり多く感じますね。

さて、個人の確定申告にせよ法人の決算書にせよ、必ず確認しなくてはいけない重要なことがあります。それは「受領印が押してある」ということです。

「受領印」とは、税務署が確定申告書や決算書を受領したときに押すスタンプです。

これがないと、確定申告書も決算書も「公的に認められた書類」とみなされません。

融資の審査で確定申告書や決算書を確認するのは、収入や支出の状況、納税の状況などを知りたいからです。この書類につき、「ウソの書類を偽造」して提出されてしまっては、金融機関としては、融資の審査ができません。

しかし、税務署の受領印がなければ、その書類が正式に申告されたものなのか、偽造されたウソの書類かは判断がつきません。ですから、税務署の受領印は非常に重要です。

税理士を通じて申告をしている場合には、まず間違いなく受領印があります(たまにないものも見かけますが・・・)が、自分で申告した場合には、受領印がないことがかなりありますので、要注意です。

また、電子申告をしているとこの受領印はありません。

その場合には、「メール詳細」というページがダウンロードできますので、このページを印刷して添付することで受領印に代えることができます。

参考資料として添付する書類

以下の書類は、公庫の融資で提出を求められることが多いので、最初から添付書類として、提出をすれば審査が早く進みます。

物件の賃貸借契約書

店舗や事務所物件の賃貸借契約書はかなりの確率で提出が求められます。したがって、事前にこちらから提出しておけば審査がスムースに進みます。

見積書

少し大きい金額の支出については、見積書を提出すると、審査がスムースに進みます。

なお、設備資金で出すものについては、見積書の提出は必須です。

機械の購入費用や営業自動車の購入、店舗や事務所の内装工事などについては、必ず見積書を付けるようにしてください。

源泉徴収票など

前述のとおり、その人が今までどのような仕事をして、どれくらい稼いできたかは、その人の融資審査をする上で重視されるポイントです。

直近3年分くらいの源泉徴収票を添付して、これから創業する業界・業種での経験をアピールできるといいでしょう。

収支計画書や返済計画書

お金を貸す側としては、「どうやって返していくのか?」という点が一番気になります。

毎月、どのような経費がいくらぐらいかかるのか、それによって毎月いくらくらいの売上があがり、利益としていくら残るのかを、現実的な数字で示すことが重要です。

経費については、「本当にその経費は必要か?」という点が重要です。要するに、「無駄遣いをしない」という点を積極的にアピールしたいですね。

一方で、売上計画も根拠がなくてはいけません。

根拠もなく、大きな売上金額が上がる計画ですと、「非現実的」な計画とみられ、「計画の見積もりが甘い」と捉えられてしまします。

ひいては、融資金を返済する見込みが薄いと判断されてしまうので、注意が必要です。

注意したいこと

多ければいいというものではない

融資審査というと、熱意を伝えなければと、つい力が入ってしまうものだと思います。

自分のビジネスのことを知ってもらおうと、資料や書類もたくさん作成してしまうかもしれません。

しかし、融資担当者は非常に忙しいです。したがって、あまり書類の枚数を多くしてしまうのは考えものです。

ポイントを絞り、読みやすく簡潔な書類づくりを心がけましょう。

アピールすべきポイント

端的に言いますと、融資担当者が知りたいポイントは下記のような事項です。

思わず貸したくなる!アピールポイント
・代表の経歴、経験こそすべて!
・事業の内容をとにかく簡単に!
・お金の管理にだらしなくないですよ!
・事業に本気で取り組みます!
・売上見込みに根拠があります!
・不正はなく誠実ですよ!

詳細はこちらの記事にも書いてありますので、ご参照下さい。

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