日本政策金融公庫で融資を受けようというとき、必ず審査担当者との面談があります。面談に臨むにあたり、持参する書類リストを伝達されますが、その中にだいたい税金の領収書と公共料金の領収書があります。
家賃や公共料金、税金をしっかり払っているか、是非とも確認したいですね。
その公庫が融資するということは、社会正義が問われます。
税金を支払っていないのは、完全に”悪”なので、当然ながら融資をすることはできません!
このように、税金や公共料金の領収書を紛失してしまう方は多いのではないでしょうか?
そもそも融資を受ける予定などなく、領収書は保管せずに捨ててしまったというケースも多いのではないかと思います。このような場合はどうすればいいのでしょうか?
目次
なぜ領収書が必要なのか?
では、なぜ公庫は公共料金や税金の領収書を提出させるのでしょうか?
公共料金の領収書はお金の管理姿勢を見ている
まず公共料金は、通常どんな人でも毎月支払っているものです。誰でも支払っているものなので、確実に支払い実績を見ることができるという利点があります。そして、毎月支払いがあるものなので、その人の「お金に対する姿勢」を見ることができるんです。
毎月、期日までにきっちり支払っている人であれば、「お金に対してしっかりと管理ができている人」と見ることができます。一方で、支払い方がまちまちで、期日に遅れて支払うことも頻繁にあったり、時には2か月分をまとめて支払う、なんてことがあったりすると、「この人はお金にだらしない人だ」という印象を与えてしまいます。
融資申請書類や面談では、その場で取り繕うことはいくらでもできます。
しかし、過去は変えられないので、毎月の公共料金の支払いなど、日常の習慣については、ごまかしようがないのです。その日々の習慣にこそ、その人の人となりが出てしまうものなのです。
余談ですが、昔、金融機関の審査担当者が、代表者の自宅をひそかに訪れ、郵便ポストを見るという話を聞いたことがあります。郵便ポストに郵送物が貯まっていると、「だらしない人」ということがわかるからだそうです。
現在、企業の就職試験でも、その人のSNSをチェックするといいます。面接では取り繕いができても、過去は変えられないという点に着目しているので、公庫が領収書をチェックするのに似ていますね。
税金の未納はそもそも論外!
一方で、税金の領収書はなぜ必要なのでしょうか?
日本政策金融公庫は国が100%出資している金融機関です。また事業融資を行う機関としては、その他にも銀行や信用金庫、信用組合などがありますが、これらも金融庁の監督を受け、中小企業の発展に貢献しているという、きわめて公共性の高い事業です。
したがって、これらの金融機関が事業者に対して融資を行うということは、その事業者を応援するということになります。公共性の高い金融機関が応援をする以上、その融資先は健全な事業者でなくてはなりません。
特に、社会的な正義ということは重要です。反社会的勢力はもちろんのこと、不正を行っている事業者や税金・社会保険料を納めていない事業者などには、融資をすることができないのです。
「脱税」と言いますと、きわめて悪質な犯罪というイメージがありますが、税金の未納も、「税金を納めていない」という意味では、やはり「悪」なのです。
無許可営業や契約違反もNG!
これと関連しまして、無許可営業や契約違反も論外です。業種によっては免許や資格、許認可が必要な業種がありますよね?こういった業種で営業を行うにあたり、その必要な資格を取得していない場合には、そもそも違法行為なので、当然のことながら融資が下りることはありません。
もう1点、注意しなければいけなことに、契約違反があります。例えば、本店所在地を代表者の自宅として登記している場合、注意が必要です。このような場合、賃貸借契約書を確認しますと、「事務所利用は不可」と書いてある場合が多いです。事務所利用が不可なのに、会社の本店として利用しているということは、明らかな契約違反です。この場合はケースバイケースですが、やはり融資通過となるのは厳しいことが多いです。
公共料金の領収書をなくした場合には?
まず、直近の領収書だけでも用意できないか考えてみましょう。
通常、公庫の融資審査では、半年~1年分の領収書提出を求められます。さすがに1年分は保管していないとしても、直近の1~2か月分くらいは保管していないでしょうか?
探していただいて、1~3か月分くらいあれば、まずはそれを利用してください。もし、それもなければ、最新のものだけでも用意してください。つまり、公共料金の支払いは毎月ありますので、次の支払いがすぐに来るはずです。そこで請求書が来たらすぐに支払っていただき、その領収書を保管してください。
次に、支払い方法を確認して下さい。
そもそも毎月の口座引落しにしている場合、銀行口座に支払い履歴が記載されているはずですので、通帳をコピーし、その部分にマーカーを引くといいでしょう。
また、最近ではクレジットカード払いにしている方もいると思います。こちらも上記同様に、クレジットカード明細をコピーし、その部分にマーカーを引いて持参してください。
税金の領収書をなくした場合には?
次に税金の領収書です。
税金につきましては、個人事業主や創業融資の場合と、法人で異なります。
個人事業主や創業融資の方
まず個人事業主や創業融資の方です。
この場合の税金については、通常は所得税、消費税、住民税が対象となります。ただし、住宅ローンがある方の場合、固定資産税の領収書も求められます。
税金についても、公共料金と同様に、「期日までにしっかりと納税している」ということが重要ですが、もう1つ、「すでに確実に納税している」という要素も重視されています。つまり、領収書がなくても納税証明があればよいのです。
所得税や消費税については税務署、住民税についてはお住いの市区町村の市役所や区役所で取得できます。なお、売上が1000万円以下で消費税が免税となっている事業者は、そもそも消費税を納税していないと思います。その場合は、「未納の税額がないことの証明」というものが取得できますので、こちらをご利用下さい。
法人の場合
法人の場合は、通常、法人税、地方法人税、法人地方税及び事業税、消費税の領収書が必要になります。こちらも上記同様、納税証明書でも代用可能です。この場合、法人税と地方法人税および消費税は税務署、法人地方税及び事業税は都税(県税)事務所で取得が可能です。
また、最近ではe-taxで電子納税を利用しているため、領収書がないという方もいるでしょう。
その場合は、e-taxの納税情報発行画面をコピーし、その該当金額の箇所の通帳コピーにマークをして持参することでも代用可能です。この方法なら、わざわざ税務署や税事務所まで行かなくてもいいので、お手軽で簡単です!
領収書なんて、とってないから、なくしちゃったよぉ!!