事業を始めるうえで、切っても切れないのは物件の話ですよね?
特に飲食店や美容院などでは店舗物件の契約のほか、場合によってはフランチャイズの加盟金の問題もあります。
創業当初は手元資金が潤沢にあるわけではないのにも関わらず、物件の契約金やフランチャイズの加盟金など、出ていくお金が多いものです。
まるっと、一式借りられないかなぁ?
もしも借入ができなかった場合、ビジネスの運営はどうするんですか?
目次
FCの加盟金は借りられる?
新たにビジネスを始める場合、一からすべて自分で始めるのは、少しハードルが高いですよね?
それに比べて、フランチャイズに加盟すると、そのフランチャイズ本部が培ってきたノウハウを指導してもらえ、さらにそのブランドも使用できるので、一気に起業のハードルが下がります。
便利なフランチャイズ制度ですが、ネックもあります。
それは、フランチャイズに加盟する際に、かなりまとまった金額を加盟金として支払わなくてはいけないことです。
加盟金については、その業種やフランチャイズ本部の種類によっても様々ですが、数百万円~数千万円という金額が一般的ですので、創業当初にかなりの金額を用意していなくてはいけないということがわかります。
融資申込の申請書類
さて、融資を申請する際には、借入申込書などの申請書類のほかに、見積書などの参考資料の提出も求められます。
そして、フランチャイズ契約がある場合には、「フランチャイズ加盟契約書」のほか「加盟金の支払い領収書」の提出も求められます。
どうやって返済するか?
お金を貸す側が一番気になるのは、「貸したお金を返してもらえるのか?」という1点につきます。
そして、当然のことながら返済原資は、売上を上げ、利益を得たお金の中から返済をするということです。
ビジネスをスタートする時点では、資金的に余裕がないのでお金を借りるわけですから、売上が上がり収益がでなければ、借入金を返済することができません。
「どこからかお金が沸いてでてくる」などという非現実的なことを、金融機関が期待するわけはないからです。
本当にビジネスがスタートできるか?
そこで、「本当にビジネスが立ち上がるか?」という点は、非常に重視されます。
ビジネスや経営の経験が未熟な起業家が創業する場合、「その業界・業種でどれくらいの経験があるか?」という点が重要です。未経験の業界で一から起業してビジネスを軌道に乗せられるほど、会社経営は甘くないからです。
しかし、フランチャイズ加盟での創業の場合、その業界未経験ということも珍しくありません。
その経験不足を補うのが、フランチャイズ本部が提供するノウハウやブランドなのです。
したがって、フランチャイズ加盟での創業である場合、フランチャイズに加盟できない時点でビジネスは立ち上がらないと判断するのが通常です。
つまり、融資を申し込む時点で、フランチャイズ加盟契約と加盟金の支払いは絶対条件なのです。
不動産物件の契約について
さすがに開業資金のすべてを自己資金で用意するのはキツいです・・・
フランチャイズのところで見たのと同じ理屈で、飲食店も店舗物件がないと創業できませんよね?
最初っから、そんなに多くのお金なんて用意できないじゃないか!
不動産物件についても、考え方は同じです。
ビジネスが立ち上がらなくては、借入金は返済できませんから、そこが重要な判断基準です。
したがって、サービス業やネット物販など、店舗を必要としないビジネスであれば、不動産物件の契約はそこまで重要ではありません。物件がなくてもビジネスをスタートできるからです。
ただし、不動産契約に関する契約違反は厳しく見られます。
一方で、店舗ビジネスの場合、不動産物件は必ず必要になります。
店舗物件の審査ポイント
飲食店や美容院など店舗ビジネスの場合、前述のとおり物件がないとビジネスがスタートできませんから、物件の契約が重視されるわけですが、融資の審査ではそれ以外の点も厳しくチェックされています。
例えば立地です。
飲食店をやるならば、当然人通りが多い場所や商店街、駅から近い物件の方が集客上有利です。
駅から遠い、人通りの少ない場所での出店であれば、集客に不利ですから、融資の審査上もかなり厳しくみられます。
また、夜のお店が多い場所や風俗店が乱立する場所に出店する場合も、かなり厳しくみられます。
金融機関は、その活動内容が公的な要素が強い機関です。したがって、「融資を出すのが適切か?」というイメージの問題も大きいのです。
融資申込のタイミング
前述のとおり、飲食店や美容院のような店舗ビジネスの場合、基本的には物件が決まっていることがポイントになります。
ですから、融資を申し込む前に手付金や契約金を支払っていることが理想的と言えます。
しかし、現実的に支払いが厳しいということもあると思います。
その場合の対処法としては、以下が考えられるでしょう。
物件の掲載をストップしてもらう
目星の物件が見つかり、内見をして気に入った場合、不動産屋に交渉をして、物件の募集掲載をストップしてもらうという方法があります。
不動産屋としては、1日も早く借り手を見つけ、家賃収入を得たいというのが本音です。
したがって、契約が決まるまでは借り手の募集広告を出し続けるのが一般的です。
しかし、こちらの借りる意志が非常に強く、熱意を伝えれば、1週間程度であれば、契約をストップして、待っていてくれることがあります。
この場合、融資の申込先は日本政策金融公庫が有望です。
なぜなら、融資の審査が早く、3週間~4週間程で着金ということがあるからです。
つまり、
- めぼしい物件があったら、公庫に融資申請する
- 物件の内見をして、契約の意思表示を示す
- 物件の掲載を1週間ストップしてもらう
- 融資の着金がある
- 本契約と契約金の支払い
というような流れになります。
なお、公庫が最適な理由はこちらもご覧ください。
気に入った物件があったら、まずは2週間くらい前に日本政策金融公庫の融資を進めておくのです。
その後、物件の方にも1週間待ってもらえれば、合計3週間ですから、とんとん拍子でいけば、融資着金となります。
なお、公庫側にも事情を伝えれば、融資審査を早めに進めてもらうこともあります。
融資実行条件をつけてもらう
この方法は、なかなか対応してくれる不動産屋がないのですが、稀に応じてくれる不動産屋があります。また、知り合いの紹介や日頃から仲の良い不動産屋がいる場合、応じてくれることのある方法です。
具体的には、先に不動産契約を締結してしまいますが、契約金の支払いを待ってもらいます。
そして、融資が実行された場合に本契約となり、融資が否決となった場合には、契約自体をなかったことにしてくれるという契約です。
まず契約を結んでおき、住宅ローンの審査に落ちた場合、契約自体を無効にしてくれるというやり方です。
ただし、店舗物件の賃貸借契約の場合、なかなかこの方法には応じてくれないので、注意が必要です。
なぜなら、前述のとおり、不動産屋は1日でも早く借り手を見つけて、家賃収入を得たいからです。
物件の契約が流れてしまった場合
では、物件の契約が流れてしまった場合はどうすればいいのでしょうか?
前述の方法の場合、お目当ての物件がほかの人に契約されてしまうリスクがあります。
主に、融資を申し込んでから不動産屋に交渉をするまでの2週間程度の間と、不動産屋に交渉してから、融資が実行されるまでの1週間です。
公庫としては、融資を否決という判断をするわけではなく、次の物件が出てきたタイミングで内容に問題なければ、融資実行と考えます。
物件が流れてしまった場合、次の物件を探すわけですが、その物件は前回公庫に提出した物件と同程度の物件である必要があります。具体的には、
- 金額が同程度である
- 場所、立地が同じような場所である
- 広さ(席数)が同程度である
という点がポイントになります。