いざ法人を設立しようとなったときに、その設立形態に悩む方が増えてきているようです。株式会社以外にも、最近では合同会社やNPO法人なども認知度が上がってきており、選択肢に入れる方も多いですね。
今回は、
ということについて解説したいと思います。
目次
合同会社とは何か?
最近よく聞く合同会社という言葉ですが、実際に株式会社と何が違うかイメージがわかない人も多いようです。それには、この法人形態が比較的新しく、あまり馴染みがないことが影響しているかもしれません。
株式会社とは、合同会社の真逆で、「所有と経営が分離している」会社のことを言います。
株式会社の場合、会社に出資した株主が、その会社の所有者ということになります。株主はあくまで会社を所有しているだけなので、経営はプロの経営者に委任します。
経営者というのは、代表取締役や取締役であり、通常は役員と呼んでいます。
一方、合同会社は「社員全員が出資である」会社のことをいいます。社員自身が出資した資金で運営を行い、経営者と社員の議決権は同等です。また、合同会社の「社員」は必ずしも従業員であるということではなく、出資をした人全員が「社員」という位置づけになります。
法人形態の種類
そのほか、日本の法人形態には以下のようなものがあり、それぞれの特徴は下記のようになっています。
- 合同会社⇒有限責任社員のみ
- 合資会社⇒有限責任社員と無限責任社員がいる
- 合名会社⇒無限責任社員のみ
有限会社だけでなく、株式会社も有限責任なの?
一方の無限責任というのは、破綻によって生じた債務を個人ですべて負わなくてはいけない制度です。
個人事業主などは、無限責任ですね。
なお、株式会社にするか合同会社にするか、で迷ったときはこちらも参考にしてみてください。
合同会社は信用力が低いのか?
合同会社というと、信用力が低いというイメージがあると思います。
- 合同会社なんて聞いたことない
- 合同会社って、すぐに潰れちゃいそう
- 合同会社はなんだか怪しい
なんとなく、このようなイメージがあるのではないでしょうか?
これはおそらく、知名度の低さと資金力が低いというイメージからくるのではないでしょうか?
合同会社の知名度
合同会社は2006年の会社法施行によって新たに創設された制度で、比較的新しい法人形態です。それゆえに、認知度も低く、世間にまだ浸透しきっていないようです。
しかし、最近ではGoogleやAmazonの日本法人が合同会社であるため、少しずつ認知度があがってきているといえます。
・Google合同会社
・アマゾン合同会社
・シスコシステムズ合同会社
・合同会社西友
・合同会社ユー エス ジェイ
・ユニバーサルミュージック合同会社
・合同会社DMM.com
などなど、かなり有名な会社も多いですよね?
合同会社の資金力
合同会社というと、「規模が小さい」というイメージを持たれがちですね。
それは、「社員全員が出資者」であるということに原因がありそうです。株式会社は、株式を発行し、その株式を買ってもらうことで、広く資金調達をすることができます。言い換えれば、より多くの資金調達をすることができるのです。
しかし、合同会社は株式を発行することができないため、株主に株を買ってもらって資金調達することができません。
当然、上場して大規模な資金調達をすることができません。
しかし、合同会社であっても、出資のほかにも資金調達手段があります。
例えば、金融機関からの融資です。特に創業時は、一般的な銀行からのプロパー融資が難しかったとしても、公的な制度などを利用すれば、資金調達が可能です。
国が100%出資する、日本政策金融公庫の新創業融資制度や、保証協会などを利用した制度融資などはかなり手厚いので、一度検討されると良いと思います。
また、新しいビジネスチャレンジに、公的にお金を支援してくれる、補助金や助成金という制度もあります。
補助金や助成金は返済不要ですので、特に創業時で資金繰りが厳しいときには頼りになりますね。実は、世の中には2000種類以上もの補助金・助成金が存在し、あまり知られていないものも含めると、創業時にもかなり手厚く資金調達できる方法もあります。
合同会社が信用力を得るには?
前述のとおり、GoogleやAmazonなど、大規模・有名企業の中にも、合同会社はあります。
これらの有名企業は、合同会社だからといって、信用力が落ちることはないでしょう。
つまり、合同会社が信用力を得るためには、なんといってもブランド力が一番です。
そうはいっても、創業当初からいきなり、ブランド力をつけることも難しいですよね?
そこで、まずはホームページを充実させ、情報発信力を強化することで、ブランド力を築いていくことが、地道ですが近道となります。
ホームページのデザインは、もちろんデザイン性の高いものの方が良いですが、それよりも大事なことは、企業のプロフィールがしっかりと記載されていることです。
- 企業名が記載されている
- 代表者の名前が記載されている
- 事業内容が明確である
- 会社の住所が記載されている
- 代表者や従業員の顔写真がある
また、現在ではSNSが発達しているので、積極的に情報を発信して、存在感を確立するのも手ですね。
さらに、最近ではメディアも様々な情報にアンテナを張っているので、話題性の高い企業であれば、小規模であれ、創業当初であれ、マスコミに取材してもらうことも十分にあり得ます。
マスコミからの取材は、どんな宣伝広告よりも効果絶大なので、チャンスがあれば積極的に活用したいですね!
合同会社のメリット
合同会社の最大のメリットは、なんといっても設立資金が安くすむことです。
資本金が1円から会社設立できるという点では、株式会社も合同会社でも同じです。
しかし、合同会社の場合、設立にかかる行政手数料が格段に安いのです。
このように、株式会社の半分くらいの費用で設立できてしまいます。
なお、会社の設立方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
合同会社といえば、意思決定が早いのもメリットとしてあげられます。
合同会社は、出資金額にかかわらず、議決権が平等にあります。また、出資金額にかかわらず、利益の配分が可能です。
つまり、社員全員で会社の経営方針を決め、スピーディに意思決定をしていくことが可能です。また、株主対策などで気をもんだり、時間をロスすることなく、経営に専念することができます。
合同会社のデメリット
一方、合同会社は前述のとおり、知名度が低いというデメリットがあります。
「なぜ合同会社なの?」ですとか、「安く作った会社でしょ?」というイメージを持たれてしまう可能性もあります。
また、資金調達の選択肢が少ないので、大規模な資金調達が難しいです。しかし、最近ではクラウドファンディングなどの資金調達手段も充実していますので、以前よりはこのデメリットで困ることは少なくなってきているかもしれません。
ただし、合同会社は上場することができないので、大規模な資金調達をする場合には、合同会社から株式会社へ組織転換することを検討する必要があります。
もうひとつ、合同会社のデメリットとして、運営の難しさがあります。前述のとおり、合同会社は社員全員が出資者となっております。そして、出資金額にかかわらず、議決権が対等です。
そこで、出資者の人間関係や合意形成に努力が必要な場合もでてきますので、注意が必要です。